医療機器といってもその中身は、数多くの分野で分かれています。
今回は、 循環器内科の血管内治療分野で活躍する医療機器メーカーの営業についてご紹介いたします。
循環器内科の血管内治療ってどんなことをするの?
血管内治療の製品って難しい?
循環器領域の営業にはどんな特徴があるの?
というような疑問をもっている方におすすめの内容となっています。
さあ、循環器内科で行われる血管内治療に関わる医療機器の営業を知って、自分に合った就職先を見つけましょう!
血管内治療ってどんな治療?
血管内治療とは、エックス線装置などを用いて、細い管(カテーテル)を血管に挿入し、病変がある脳や心臓、肝臓などの治療で、体の負担が少ない手術のことをいいます。
医療現場ではIVR(アイブイアール:Interventional Radiology)やインターベンション、心カテとも言われるよ。
主に、放射線部門にあるアンギオ室や血管造影室などと呼ばれている部屋で治療が行われるんだ。
循環器内科の血管内治療ってどんなの?
循環器内科の先生が行う血管内治療は、主に心臓や手足などの血管の虚血(血液の流れが滞る状態)や不整脈などに対して行われます。
心臓の血管の治療って?
いくつかありますが、経皮的冠動脈インターベーション(PCI)と呼ばれる治療が圧倒的に多いです。
経皮的っていうのは、皮膚を通してという意味だよ。
皮膚を通して行う治療は「経皮的○○〇」って言われるんだ。
たとえば、経皮的胆道ドレナージや 経皮的神経ブロックなど
心臓の筋肉に血液を供給している血管(冠動脈)の狭くなっているところを広げて、血流を正常に戻します。
心筋梗塞や狭心症といわれる病気の治療になります。
この治療に使用される医療機器は、冠動脈の狭くなったところを広げるバルーンカテーテルや留置ステント、これら治療器具を病変まで運ぶガイディングカテーテル、PCI用ガイドワイヤーなどがあります。
経費的冠動脈形成術(PCI)は、治療件数も多く年間250,000~300,000件ほど行われているとされています。
足の血管の治療って?
心臓の血管の治療と同様に、足の血管が狭くなっているところを広げて血流を正常に戻す治療になります。
この治療は、末梢血管形成術(EVT)と呼ばれ、末梢動脈疾患(PAD)の患者さんに施行されます。
この治療に使用される医療機器は、 心臓と血管治療と同じようなバルーンカテーテルと留置ステント、ガイディングが用いられます。
長い閉塞病変には、ステントと人工血管を組み合わせたステントグラフトを使用することもあります。
手足の血管の治療は、 病院によっては循環器内科ではなく、心臓血管外科や 放射線科などの他の診療科で行われることもあります。
不整脈の治療って?
不整脈とは、 心臓の心拍が不規則に打つ状態のことをいいます。
医療機器の企業が関わる不整脈の治療は、 心臓ペースメーカーとICD、カテーテルアブレーションという手技になります。
心臓ペースメーカーや ICDは、本体となる機器を皮膚の下に植え込み、信号を送ることによって、心拍を正常に戻す治療です。
カテーテルアブレーションは、心臓の刺激伝導の異常個所を見つけ、正常に戻すといった治療になります。
循環器領域の血管内治療物品を扱うメーカーの営業の特徴
循環器内科の血管内治療物品の営業とはどのようなものでしょうか。
その特徴について解説いたします。
訪問先は?営業先は?
もちろん循環器内科の先生になりますが、その中でも血管内治療を行っている先生に対して営業を行うことになります。
循環器内科の先生のすべてが、血管内治療をしているわけではないんだ。
血管内治療を行う循環器内科の先生は、他の診療科の先生と比べると比較的に会いやすい環境にあります。
なぜかと言うと、血管内治療のために、放射線部門にあるアンギオ室(心カテ室)に身を寄せている曜日や時間帯が決まっていることが多いからです。
たとえば、「毎週、月水金の午後13時~」などアンギオ室で治療を行う日時が決まっていることが多く、その時間帯に訪問すれば、お会いすることができます。
その他の営業先としては、医療機器ディーラーや臨床工学技士(CE/ME)、放射線技師になるでしょう。
血管内治療に携わる医療機器ディーラー
医療機器ディーラーは、血管内治療に特化した専門ディーラーが多く活躍しています。
多種多様の血管内治療製品を熟知していることや、毎日のように物品を準備しているため循環器の先生方から重宝されています。
治療に使用されている物品情報やドクターの治療トレンドにも詳しく、メーカーにとっても欠かせない存在です。
血管内治療専属のコメディカル
臨床工学技士(CE/ME)、放射線技師が、血管内治療のアシスタント的存在として関わっています。
臨床工学技士は、血管内超音波やロータブレーター(高速回転ドリル)、ポリグラフの装置、ペースメーカーなどに知識・操作に精通しており、先生への助言をおこなったりします。
放射線技師も同様に、画像について助言を先生へ行ったり、アンギオ室(心カテ室)の管理を任されていたりします。
臨床工学技士(CE/ME)・放射線技師ともに、血管内治療物品を扱うメーカーの営業にとって重要な存在といえます。
やっぱり製品性能が鍵!?製品力の重要性
営業するにあたり営業力はもちろん大切ですが、製品力つまり、製品の性能も重要です。
治療には、比較的に簡単な病変もあれば、何時間もかかる難しい病変もあります。
難しい病変には当然ですが製品の性能が重要となり、性能が高い商品ほど重宝されます。
たとえば、虚血病変の治療に使用される製品は、血管の細くなった場所の通過性能であったり、拡張性能が重要だったりします。
いくら営業が素晴らしくても、製品に力がないようでは苦労するでしょう。
他社にはないニッチな製品(特長的でオンリーワンの製品)を扱っているメーカーも重宝されるよ。
そういった製品を多く扱っているメーカーは営業がしやすいね。
医療現場での立ち会い
循環器のドクターが医療機器を正しく使用していただくために、患者さんの治療現場に立ち会うことがあります。
循環器領域の血管内治療製品は、新規製品やバージョンアップ、緊急の対応が比較的多く、営業マンは治療現場に立ち会う機会が多くなるでしょう。
ただし、この立ち合いは、不当な取引の誘引行為(自社製品を使ってもらうなど)につながるため、医療機器業公正取引協議会において「立ち合い基準」が定められており、公正競争規約に基づいた法律で制限されています。
たとえば、適正使用のための立ち合いの場合、その目的と回数や期間(制限)、患者さんの承諾などを「立ち合い実施確認書」にて明確にし、医師の承諾のもと行わなくてはなりません。
医療機器を販売する営業マンにとって、関連する法令や規制を遵守することは大切です。
無知な個人の行動が、会社全体に影響を及ぼす可能性がありますので注意が必要です。
学会での営業活動
循環器内科系の学会は、毎年いくつもの学会が開催されており盛んです。
医療機器メーカーも、この機会に共催したり、ブースで商品を展示したりすることになります。
全国から著名な先生が集まる学会は、メーカーの営業マンにとっても、自社製品をPRするチャンスです。
病院では、外来診察や手術などで忙しい先生も、この時ばかりは時間を取って話を聞いていただけたりします。
普段できない会話や情報交換もでき、営業マンにとっては実のある有意義な時間となることが多いです。
また、全国の地方で開催されることが多くあり、普段の現場から離れてする仕事は、新鮮で気分転換にもなります。
地方での学会業務が終われば観光だってできるし、グルメも楽しめたりするね。
現場で活躍!循環器領域おすすめの医療機器メーカー
循環器領域の血管内治療製品を得意とするおすすめの医療機器メーカーをご紹介いたします。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、循環器領域でも血管内治療の分野の営業について解説いたしました。
循環器内科において血管内治療はとても盛んに行われており、医療機器メーカーから見ても売上の大きい領域になります。
ただし、循環器内科のカテーテル治療は、1980年代頃から日本で行われており、約40年たった現在では成熟されつつあり、ピークを迎えようとしている側面もあります。
限られつつある市場の中でも、会社は前年度よりも高い目標を掲げます。さらに、2年に一度の診療報酬改定時では基準材料価格(償還価格)が下がっており、販売価格の低下が進んでいるため、営業マン同士の競争は激化しています。
決して楽な分野とは言えませんが、他の診療かと比べても医療機器の使用が多く、医療機器メーカーにとっては華やかな分野と言えます。
今回解説した内容が、就職や転職のヒントになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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