知らないと大問題!手術室での営業活動

医療機器の営業を行っていると、新規納入やバージョンアップした医療機器の使用説明を行うために、手術室へ足を踏み入れることがあります。
しかし、手術室は、外来や病棟とは違い、清潔な区域となるため、あらかじめ知っておかなければならない常識やルールが存在します。

手術室で立ち会いをしたことがない。
手術室での営業活動を知りたい。
手術室内での行動の注意点を知っておきたい。

というような方にとっておすすめの内容になってます。
手術室内での行動で病院の方に迷惑をかけることのないように頭の中に入れておきましょう。

手術室ってどういうところ?

病院の中を歩いてみると外来や病棟以外にもたくさんの部署や部門を見かけます。

その中でも手術室は、治療に関わる装置や器具、消耗材料を扱うメーカーにとって重要な部署であり、多種多様な医療機器を扱うディーラーにとっても非常に関わりのある部署になります。

手術室とは、手術を行うための部屋ことを言いますが、病院によっては、20室以上もの手術室がある施設もあります。

規模の大きい病院では「手術センター」や「中央手術室」、「手術部」などと呼ばれています。
内部は、清潔区域とされており入室する際は、着替え、マスク、サージカルキャップなどの着用が必要になります。

手術室で働く病院の人たち

手術室の中には、医師をはじめ多くの医療従事者が手術を安全かつ円滑にこなすために、それぞれの役割に応じた業務をこなしています 

医療従事者業務
外科医手術を執刀する医師と助手の先生。
心臓血管外科、整形外科、消化器外科、脳神経外科、小児外科、泌尿器科、産婦人科などの
診療科の先生が手術を行う。
麻酔科医師手術中の麻酔の状態や管理を行っている。
患者の呼吸の状態、血圧、脈拍など、全身状態を常に監視し、良好な状態の維持と管理している。
手術室看護師器械だしを行う看護師(直接介助)と外回りの看護師(間接介助)がいる。
器械だしの看護師は、清潔者となり執刀医が必要とする器具や材料をそばで渡す役割を行っている。
チョッカイとも呼ばれる。
外回りの看護師は、手術記録や追加材料の準備、麻酔の介助など行っている。
臨床工学技士手術に関わる器械が安全に使用できるように管理。
麻酔器、人工呼吸器、人工心肺装置、電気メスなどの保守点検や操作、記録などの
業務をこなしている。
診療放射線技師X線撮影を必要とする手術に関わる。
放射線照射は、医師と診療放射線技師以外は実施できない。
手術室クラーク医師や看護師の事務業務を補助する役割。
電話対応や窓口対応、書類整理などを行っている。
清掃スタッフ手術終了後に清掃を行う。
外部の業者に委託している病院が多い。
滅菌部スタッフ 手術に使用する滅菌器具を準備や回収を行う。
外部の業者に委託している病院が多い。
SPDスタッフ手術に使用する医療材料を準備や回収を行う。
外部の業者に委託している病院が多い。

医療機器の営業のお相手は「外科医」「麻酔科医」「手術室看護師」「臨床工学技士」「診療放射線技師」となり、「手術室クラーク」「滅菌部スタッフ」「SPD スタッフ」は、営業マンを助けてくれる存在になります。

特定の診療科の手術に使用する製品  事前の活動

手術に使用される製品の実際の活動を流れに沿ってそのポイントと注意点について解説いたします。

特定の診療科へ営業活動

手術に使用される製品は、外科医の先生に対して営業活動を行いますが、手術室からスタートすることはほぼありません。

典型的な流れとしては、面談のアポイントを取ってまずは、手術室の外で医療機器の紹介を行います。

そこでドクターから実際の手術に試用したいとなれば、手術日に合わせて機器の手配と手術の立ち会いの要否を確認します。

立ち会いについて

医療機器を安全に使用してもらうための説明は、医療現場以外の場所で十分に説明することが前提となっていますが、複雑な製品の場合は、なるべく立ち会いを行ったほうがよいでしょう。

その理由は2つあります。

1つは、医療機器を安全に使用してもらうためです。
医療機器を適正に使用してもらうために、事前に説明を行うことは前提ですが、今まで使ったことのない医療機器は、先生も戸惑うことがあります。
手術がスムーズに行えなかった場合、手術時間が長引くことになります。
それは患者への負担となります。
正しい使用方法で問題なく使っていただくためにも、立ち会いの業務は重要です。
 
もう1つは、営業マンにとって貴重な体験と情報を得る機会になります。
医療機器を実際に患者に使用できるのは、ドクターや医療従事者だけです。
医療機器の営業マンは、実際に使用した経験のない立場で、製品を提案しているため、どうしても説得力に欠けます。
その欠けた部分を現場で立ち会いをすることにより、実際に使用した感覚を近くで知ることできます。
さらに、取り扱い製品のメリットデメリットをより理解することができ、この体験は、次の安全・適正使用の説明に活かすことができます。

立ち会いにおいて不当な誘引行為は絶対にしてはだめ!

医療機器の販売を目的とした立ち会いはしてはいけません。
あくまでも製品の安全使用、適正使用のための立ち会いになります。
また、医療機関等の費用の肩代わりになるような立ち会いもだめです!
注意しましょう。

立ち会いのための手続き

手術室にて立会いを行うための手続きは、個々の病院によって違います。
手続き方法については、その病院を担当している医療機器ディーラーの担当者に確認すると良いでしょう。

それともう一つ。

必要書類として、 「立会い実施確認書」の提出が必須条件となります。
立会いという行為は、公正競争規約に基づいての基準が設定されています。
「立会い実施確認書」への担当医師の署名や捺印をもらうようにしましょう。

使用してもらう製品の持ち込み

使用していただく製品の持ち込みとしては、パターンは5つあります。

①当日の立ち会い時に営業マンが手持ちで持ち込む場合。
②事前に手術室へお渡しする場合。
③執刀医自身が持ち込む場合。
④事前に滅菌が必要な製品の場合。
⑤装置系医療機器を持ち込む場合。

立ち会いを行わない場合は、②、③となります。

①当日の立ち会い時に営業マンが手持ちで持ち込む場合

ダンボールなどに入れずにコンテナなどに入れて持ち込むようにしましょう。 
ダンボールは、保管や運送される課程で、土や埃、カビ、虫がついている可能性があります。
そのため、ダンボールの持ち込みを禁止している手術センターもあります。

②事前に手術室へお渡しする場合。

窓口となる手術室クラークや看護師へお渡しすることになります。
その際に、「手術日時」「手術名」「診療科」「執刀医氏名」を伝えなければなりませんので、あらかじめドクターや医療機器ディーラーへ確認するようにしましょう。
ちなみに患者名は、個人情報となります。部外者は知ることはできません。

③執刀医自身が持ち込む場合

執刀医自身で持ち込むので1番堅い方法になります。
その場合は、ドクターへ製品を事前にお渡しして置かなくてはなりません。
その際に説明もしっかりでき、煩わしい手続きもドクターが行っていただけるため安心です。
たまにドクターが持ち込むのを忘れる場合もあることが難点です。

④事前に滅菌が必要な製品の場合

滅菌が必要なリユース製品(複数回使用できる製品)を使用してもらう場合は、その受付窓口や受付担当が設けられている場合が多いです。
これは病院によって手続きが異なるため、医療機器ディーラーの担当者に確認するとよいでしょう。

⑤装置系医療機器を持ち込む場合

⑤の場合は、臨床工学技士(CE/ME)との事前打ち合わせが必要になります。
電源の確保、機器の取扱い説明などを済ませるようにしておきましょう。
こちらも病院によって手続きが異なるため、医療機器ディーラーの担当者に確認するとよいでしょう。

入室・立ち会いの手順と注意点

当日は、いよいよ手術センターへ入室をします。

ここからは、一般的な病院の手術センターへの入室から退出までを解説いたします。
あくまでも一般的な場合ですので、実際に立ち会いを行う病院の手順については個々の手術センターや医療機器ディーラーの担当者に確認するようにしましょう。

受付

当日は、まず手術室コントロール室やナースステーションへ訪問し、窓口となる看護師・手術室クラークに「会社名」「立ち会う診療科」「執刀の先生」「手術開始時間」などと共に立ち会いに来たことを伝えます。
病院によっては、「立会い実施確認書」の提示が必要な場合もあります。

着替え

入室が許可されれば、更衣室で下着以外の着衣を脱ぎ、用意されている術衣に着替えます。
ドクター用、看護師用と術衣を分けている病院もあります。
その場合は、業者用に用意された術衣に着替えましょう。

マスク、シューズカバー、キャップを装着し、清潔区域へと足を踏み入れるための準備を行い入室します。
外部からの業者とわかるように必ず名札を着用するようにしましょう。
携帯電話の電源も切ることを忘れずに!

また、COVID-19の対策としてアイシールドの装着が必須となっている手術室もあります。
アイシールドは、院内で不足していることがあるため持参するほうが良いでしょう。
さらに、各入り口には、アルコール手指消毒が設置されていますので、必ず行うようにしましょう。

準清潔領域から清潔領域へ

着替えなどの準備を終えれば手術センター内部の清潔領域へと足を踏み入れます。
手術センター内部では、多くの病院スタッフ・委託業者が忙しく業務を行っています。
邪魔をしないように速やかに、当該手術が行われる手術ルームへ向かうようにしましょう。

まいき くん
まいき くん

手術センターには20以上もの手術ルームがある施設もあるよ。

どの手術室で行われているか事前に確認しておこう!

手術ルームの扉は、足で開閉するフットスイッチタイプになっています。
手術ルームへの入室許可を得ているのであれば、フットスイッチでドアを開けて入室しましょう。
扉の設定によりますが、入室後、自動的に閉まらない場合があります。
その際は、内側から再度フットスイッチにて閉めるようにしましょう。
開けっ放しは厳禁です。

手術ルームの内

手術ルームの中では、手術のためのスタッフが忙しく業務にあたっています。
なるべく邪魔にならない隅っこで、待機するようにしましょう。
もちろん私語が厳禁です。

立ち会いの目的となる製品は、予め外回りの看護師さんにお渡ししておきましょう。
手術のどのタイミングで使用されるか、看護師で行うべき準備についてなども説明しておきます。

立ち会いの目的となる製品を使用する場面になれば、執刀医から声がかかります。
その際に、使い方の説明や状況確認のために手術台に近づくことになりますが、ここで細心の注意が必要となります。

手術台の周辺は、清潔術野となります。
滅菌ドレープで覆われており、執刀医も直接介助看護師も滅菌ガウンを着用しています。
不潔なモノとの接触は禁止です。
近づきすぎないように心がけ、商品を渡す際も外回りの看護師を通じて行いましょう。

リク丸
リク丸

もし触ったしたら大変なことになるよ。
手術を中断し、不潔となった可能性のあるものを全て交換することになるからね。
患者にとっても病院にとっても大損害になるんだ。

取扱い説明終了後

商品の説明が終われば、執刀医の許可をもらい、手術ルームから速やかに退出しましょう。
その場で製品の評価をしてもらえる場合もありますが、手術の邪魔にならないよう、ルームの外で待機するようにしましょう。

まいき くん
まいき くん

手術終了後は、立ち会い実施確認書に担当の医師からサインをもらうことを忘れずに!

立ち会い業務が終われば、入室の際の更衣室に戻り、着替えを済ませます。
ショーズカバーやキャップは、適切な場所に廃棄するようにしましょう。
最後に手術室コントロール室やナースステーションに声をかけて手術センターを退出します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は手術室の中での活動について解説いたしました。
手術室の中では常に患者への手術が行われているため、安全、感染、清潔について、通常よりも意識の高い医療スタッフが働いています。
その場所に足を踏み入れる医療機器の営業マンも、十分に注意する必要があります。
知らなかったでは済まされない場所です。

今回お伝えしたいことを典型的な手順や注意点を覚えていただき、手術室入室・立ち合いなどの活動の参考にしていただけると幸いです。

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