意外と知らない日本の医療機器メーカーへの就職・転職 良い点VS注意点【後編】

前編に続き今回は、日本の医療機器メーカーの営業について注意点についてご紹介します

 少子高齢化や 医療技術の進化によって これからも成長が見込まれている医療機器業界ですが、その中で活躍する日本の医療機器メーカーは、 どういった企業なのでしょうか?

医療器業界への就職を考えている次の方の助けになる内容です。 

日本の医療機器メーカーの就職・転職の決め手に悩んでいる方。
現場から見た日本の医療機器メーカーの実態を知りたい方。 
自分自身に合う職業なのか、見極めたい方

 就職や転職を考えてるあなたの準備のお手伝いができれば幸いです。

さあ、日本の医療機器企業を知り、自分に合った就職先を見つけましょう!

製造開発メーカーと商社メーカー 何が違うの!?

医療機関に営業する日本の医療機器メーカーは、大きくわけると3つのタイプがあります。

「自社開発による製品を販売するメーカー」と「他社が開発・製造した製品を販売するメーカー」、そして「その両方を販売するメーカー」の3つの形態があります。

自社開発による製品を販売するメーカー

自社の開発によって製造された製品は、開発費などの投資が必要になるものの、商品がヒットすれば、大きな利益を生みだします。

さらに、その製造課程や営業先で得た経験は、次の製品のアイデアや改善として取り入れることができます。

しかし、開発費用が大きくかかるため、会社にそれなりの体力が必要となります。
体力のない会社は、開発に時間がかかったり、新製品の数が少なかったりなどします。

新しい製品が少ないのは、営業にとって辛い状況と言えます。
会社のホームページの新製品情報、取り扱い品目などを確認すると良いでしょう。

他社が開発・製造した製品を販売するメーカー

海外から商品を輸入したり、国内の製造会社より購入し販売するメーカーは、医療機器商社メーカーとも呼ばれています。

最新の医療機器や、国内の医療に適した機器を国内外で発掘し、販売権を得て市場へと展開します。

自社で開発をしないため、開発費用の負担を抑えることができることが特徴です。

しかし、製造元の方針転換により、契約の条件変更や、契約の解消などになる場合があります。

たとえば、商社メーカーの活動によって、国内の売り上げが大きくなると、海外メーカーは、方針を自社販売に切り替え、商社との販売契約を解消し、日本へ進出(直接販売)してくるなどです。

今まで営業していた商品を、明日から他社が販売するということがよく起こります。

製造開発と商社 両方の顔を持つハイブリッドメーカー 

自社開発製品の利点と商社の利点の両方をうまく事業に展開している会社です。
一見したところ、自社で開発製造を行っているように見えるメーカーも、一部他社製品を販売したりしてます。

その割合は企業によりますが、両方の利点を生かし、リスクヘッジもしながら経営しているメーカーです。

国内の医療機器企業 大きな会社と小さな会社

日本の医療機器メーカーは、国内で500社以上あります。
国内に4,000人以上を従業員を抱える企業もあれば、50人以下の企業も約200社ほどあります。

どちらが良いというわけではありませんが、自分に合った就職先を探すという点では、重要になります。

次のパートでは、大手メーカーと小規模メーカーの就職先を決める上で、参考になるポイントを一覧にしました。
ポジティブとネガティブの両方に視点をもってポイントにしています。
読んでいただければ、就職先選びの参考になるはずです。

大手医療機器メーカー選びのポイント

事項ポイント
承認決定に時間がかかる。承認や稟議などの承認に時間がかかる。
上司が承認するため、責任は分散される。
チームでの活動や取り組みが多い。営業は、個人行動が多いが裁量権は少ない。
チームや上司がサポートしてくれる環境にある。
商品開発力やマーケティング力がある。売れて当たり前の商品があり、個人の評価になりにくい。
商品が売れるため、やりがいや達成感を容易に感じられる。
会社に力がある。会社に力があり、病院やディーラーからの扱いがよい。
個人の力と勘違いし、横柄な態度で失敗する。
社員研修が充実している。年に何度か研修があり面倒くさい。
知識を身につける機会が多く、スキルアップが早い。
同期や仲間が多くなる。ライバルが多く出世争いがある。
悩みなど相談できる仲間いるため、精神的に助かる。
福利厚生が充実している。社宅・健康支援など福利厚生が充実している。
実感がなく、退職してから良さに気付く。
収入や昇給が安定している。毎年昇給があり、一般企業と比べて高年収。
実感がなく、転職してから気付く。
事業の基盤がしっかりしている。認知されている花形や成長部門がある。
衰退部門やお荷物部門もある。
社会的な信用を得ることができる。ネームバリューは、親や親族を安心させることができる。
途中退職すると失望される。
大きな仕事ができる可能性がある。移り変わりが早く、大きな仕事をまかせてもらえる。
精神的疲労が大きい。

小規模メーカー選びのポイント

将来は重要なポストに就く。人数が少ないため、将来は重要なポストを任される可能性が高い。
上司が辞めての昇格は、将来が不安になる。
決定権を持つ社長と距離が近い。意思決定がスピーディー。自分の才能や成果が経営者に伝わりやすい。
失敗も伝わりやすく、経営者にマイナス評価も伝わりやすい。
会社の中での自分の存在が大きい。その他大勢の中に一人にはならない。自分の存在感を示せる。
仕事ができないと、マイナス面で存在感を示すことになる。
自分の裁量で営業活動ができる。成果がでれば、とやかく言われず、比較的自由に活動ができる。
少数のためチームでのフォローはない。自己責任が多くなる。
上司の交代や異動が比較的少ない。営業所の数が少なく、影響も大きいため異動は少なめ。
会社の規模が大きくなれば異動は増える。その場合は栄転が多くなる。
残業が多い可能性がある。人手不足により業務過多もなりがち。仕事を振ることができずつらい。
残業を評価してくれる。会社が成長すれば苦労は還元される。
福利厚生が十分ではない。住宅補助や昼食補助など、大企業と比較すると充実していない。
長期休暇や功労者手当など、大企業にはない福利厚生がある。
年収が低い可能性がある。大手と比較して年収の低いところが多い。
成果を上げることができれば、柔軟に給与に反映してくれる。
社員研修が整っていない。社員研修や教育制度が整っておらず不安を感じる。
指導者が先輩のマンツーマン。実践向きの指導を受けることができる。
経営者の手腕に左右される。経営者の才能があれば会社の発展が早い。
独裁的な経営に振り回される可能性がある。
人間関係が良好。協調性が重視される。社員同士の距離が近く、もめ事はお互いにとってマイナス。
人間関係がこじれると、急速に社内の雰囲気は悪くなる。

そのほかにも、社歴や創立時期、業績、従業員数、資本金、事業拠点からも読み解けるものがあります。
たとえば、社長が代わり急速に発展したとか、支店が全国にある場合の転勤など想像できるか思います。
それらも参考にするとよいでしょう。

医療分野で仕事内容が変わる!?メーカーの得意領域

病院で使用される医療機器は、何十万もの種類が存在します。
そのすべての医療材料を網羅し、事業を展開しているメーカーは存在しません。

どのメーカーも得意としている領域や分野があります。
たとえば、特定の診療科に対して特化した製品を販売しているメーカーや、特定の素材の扱いを得意とするメーカー、医用装置を中心に製造販売しているメーカーなどがあります。

その領域や分野によって、仕事の内容や営業アプローチに違いがあります。
自分にとって相性のよい分野での仕事を選択しなければなりません。

具体的な企業を例に見てみよう! 

日本を代表する医療機器メーカーのテルモ株式会社を例に見てみましょう。
テルモ株式会社は、診療科や病院部門に特化した3つのカンパニーと7つの事業をもって活動しています。

心臓血管カンパニー

TIS事業 (Terumo Interventional Systems)
ニューロバスキュラー事業(MicroVention)
カーディオバスキュラー事業(Terumo Cardiovascular)
血管事業(Terumo Aortic)

心臓血管カンパニーでは、血管内治療と心臓外科手術などに関する高度医療機器を扱っています。
営業活動は、心臓外科や循環器内科、脳神経外科などのドクターを中心に行うため、専門的な知識が必要です。
高額な商品や、患者の生命に関わる商品、緊急性の高い商品を多く扱っています。

まいき くん
まいき くん

テルモの売上収益の半分以上が心臓血管カンパニーだよ。

リク丸
リク丸

TIS事業は、血管内治療物品を扱っていて循環器内科を中心に活動しているよ。

ニューロバスキュラー事業は、脳神経外科で使用される血管内治療物品を扱ってるんだ。
カーディオバスキュラー事業と血管事業は、心臓血管外科を中心に活動しているんだ。

ホスピタルカンパニー

ホスピタルシステム事業
アライアンス事業

ホスピタルカンパニーは、主に病棟や在宅などの医療現場で扱う製品を扱っています。
ドクターよりもコメディカル(看護師、臨床工学技士、検査技士、薬剤師など)に対して医療機器を提案することが多い事業です。
注射器などの一般的な医療材料から感染対策製品や医療安全、透析など、幅広い分野の製品を扱っています。
患者への影響(リスク)が低い製品を主に扱っています。

リク丸
リク丸

一般的な医療材料が多い事業は、競合するライバル企業も多いんだ。

血液・細胞テクノロジーカンパニー

テルモBCT社 製品

血液・細胞テクノロジーカンパニーは、血液と細胞治療をテーマに事業展開していう部門です。
血液や細胞に関わる医療機器を扱っているため、病院の臨床検査部の他に、製薬会社や研究機関に営業を行います。

テルモ株式会社のような大きな企業は、いくつもの事業部があり、さらにいくつものチームが存在します。

所属事業や扱い製品によって営業スタイルがかわる。

前述したとおり医療機器には多種多様な製品がありますが、それぞれキーマンとなる医療従事者が異なるため、営業内容や働き方はかわります。

勤めようとする会社が、どういう事業部をもって、どういう分野を得意としているかを確認し、それが自分のスタイルや性格に合っているか想像することは大切です。

実際に働かないとわからない部分は多いですが、多少は想像でき、就職先選びに役立つと思います。

突然の転勤!ライフプランに大きく影響

全国展開している日本の医療機器のメーカーでは、転勤を避けて通ることはむずかしいでしょう。
3年から5年に一度、定期的に転勤がある企業や、出世するためには転勤がつきものの企業などがあります。

最近は、本人の意向や家庭の事情をふまえ、転勤辞令の前に打診をしてくれる企業もありますが、会社側の期待や意向もあり、従うことになる場合が多いです。
断る場合は、自身のキャリアにマイナスになる覚悟も必要です。

転勤のデメリットは次の通りです。

転勤のデメリット

  1. 人生を共にする家族への負担
    • 配偶者への負担
      • 妊娠や出産時の負担が大きいです。
        配偶者と一緒に転居した場合は、近くに頼れる両親や知人がおらず、大きなストレスやリスクを与えることになります。
        単身赴任の場合は、自身が出産前後に協力することができず、また、出産に立ち会うことも難しくなります。
      • 配偶者が仕事をしている場合、一緒に転居するのであれば辞めざる終えないでしょう。
      • 配偶者には、その地域で新しく人間関係を構築してもらうことになります。
        社交的ではない方にとっては、精神面で負担をかけていまいます。
      • 転勤シーズンのたびに不安を与えてしまいます。
        そのたびに、単身赴任か、一緒に転居するか家族会議をすることになるでしょう。
    • 子供への負担
      • 学校に通っている場合は、やはり転校が一番のストレスになるでしょう。
        仲の良い親友とも離れてもらうことになりますし、新しい友達ができるか不安です。
        幼稚園ぐらいのお子さんがいる場合は、引っ越し先で入園が可能かどうか、小学生以上のお子さんがいる場合は、引っ越しを嫌がるお子さんが大半でしょう。
  2. 自分自身の負担
    • 家族へ負担をかけていることに、精神面で耐える必要があります。
      転勤したことによって起こるトラブルは、自分を責めてしまう可能性があります。
    • 引っ越しの荷造りや、手続き、コストが発生します。
      コストは、支給してくれる企業もありますが、作業は必ず必要となります。
    • ドクターや病院関係者、ディーラー関係者など、今まで築いた人脈をリセットすることになります。新たな人間関係を構築しなければなりません。
    • 転勤先の地域に柔軟に馴染まなければなりません。
      土地柄が自分に合わない可能性もあります。

転勤のメリット

  • 会社への貢献
    • 自分を必要とする部署への異動となり、成果を出すチャンスでもあります。
  • 人脈が広がる
    • 社内の各拠点の上司や同僚と知り合えることになります。
      その会社で長く仕事をするのであれば大切なことです。
      情報収集や相談など、困ったときは助けてくれるはずです。
      長く勤める会社なら人脈を広げていることに損はないでしょう。
  • 全国目線で考える力
    • いろいろな現場の実情を知っているという経験は、非常に大切です。
      俯瞰で事業や地域を捉えることができ、視野の広い考え方につなげることができます。
  • 今までの失敗や人間関係をリセット
    • 転勤によって人間関係をリセットでき、真っさらな気持ち心機一転で仕事に取り組めます。
      仕事に対するモチベーションが下がっている人にとっては、良いきっかけになるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
日本の医療機器メーカーの良い点と注意点について、前編と後編に分けてお話いたしました。

日本の医療機器メーカーは、外資系メーカーやディーラーと違い、安定の王様といえるでしょう。
生涯長く働くことを重視するのであれば、一番おすすめな就職先です。
ホワイト企業も多く、ブラック企業は聞いたことがありません。

ただし、転勤がある点が、一番悩むところではないでしょうか。
自分自身だけの負担であれば、乗り越えることはできそうですが、家族への負担は、心苦しいところがあります。
また、転勤は1度だけではすまない場合がほとんどです。

家族がいる方は、パートナーとよく相談し、独身者の方は、自分の将来ビジョンと照らし合わせて検討するようにしましょう。

最新の医療機器、高齢化社会、国からの支援などから、日本医療機器メーカーへの就職は、堅実な選択と言えます。


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