一口に医療機器といっても、ガーゼや注射器などの消耗品から、超音波エコーやMRIなどの装置まであります。
これら医療機器は、さまざまな分類によって区分されています。
今回は、医療機器の営業を行ううえで、覚えておく必要のある医療機器の分類をご紹介いたします。
次の方にとっては参考になる内容になっています。
医療機器の役割と重要性を知りたい方。
医療機器を販売するにあたっての義務を知りたい方
病院の報酬から見た医療機器を知りたい方。
それでは、医療機器営業をするための基礎知識を身につけていきましょう!
リスクで分ける!3つの分類と4つのクラス
医療機器の中には、扱い方や不具合が生じた場合、生命や健康に重大な影響を与える機器があります。
そのリスクの度合いを軸に、3つの分類と4つのクラスに分けられています。
そして医療機器の製造や販売においては、その分類に応じた規制や義務が存在します。
医療機器メーカーは、その企業の特徴によって扱う製品が違います。
つまり、医療機器メーカーの中には、リスクの低い一般医療機器(クラスⅠ)を主体に扱う企業もあれば、高度医療管理機器(クラスⅢ・クラスⅣ)を多く扱う企業もあります。
一方、医療機器ディーラーは、各メーカーから商品を仕入れ販売する業務形態のため、すべてのクラスを扱うことが多いでしょう。
どちらの企業にせよ、人の生命に関わる危険のある高度管理医療機器(クラスⅢ・クラスⅣ)を扱う場合は、注意が必要です。
高度管理医療管理機器は、仕入から販売までの製品情報を記録し、保存しなければなりません。
(仕入れ先、品名、数量、LOT番号、製造記号、使用期限、販売先、譲渡日などの記録作成と保管の義務)
医療機器の営業マンもこのことは意識しながら活動するようにしましょう。
つぎに、医療機器を販売する企業が行うべき、義務や許可についてお話します。
医療機器 製造販売業の許可
医療機器メーカーは、医療機器を製造販売する場合、その製品のリスクに応じた許可を得る必要があります。
医療機器を国内で製造することはもちろん 海外から輸入して販売する場合も、この医療機器製造販売業の許可が必要となります。
医療機器を製造販売するには、都道府県から許可をもらう必要があるんだ。
高度管理医療機器販売業・貸与業の許可
高度管理医療機器(クラスⅢ・クラスⅣ)の製品を販売・貸与する企業は、都道府県知事または、営業所の所在地を管轄する市長や区長の許可が必要になります。
高度管理医療機器(クラスⅢ・クラスⅣ)の製品の取り扱いにあたっては、いくつかの義務があります。
その中でも医療機器の営業に関わる4つの項目について記載します。
①苦情処理
販売・貸与した医療機器について苦情があった場合、その苦情が自らに起因するものでないことが明らかな場合を除き、営業所管理者に報告しなければなりません。
②回収
販売・貸与した医療機器を、品質などを理由に回収するとき、その回収の原因が自社の陳列や貯蔵等に起因していることが明らかな場合、営業所管理者に報告しなければなりません。
③製造販売業者への不具合等の報告
医療機器の不具合などによって疾病や傷害、死亡、感染症の発生が疑われる場合は、医療機器メーカーへその旨を報告しなければなりません。
④譲受及び譲渡に関する記録
高度管理医療機器を販売や貸与した場合、その記録を3年間,保存しなければなりません。
特定保守管理医療機器
医療機器の中には、特定保守管理医療機器と呼ばれる機器(装置)があります。
この機器(装置)に不備や不具合が起こると、診断や治療に重大な影響をあたえるため、専門的な知識や技術をもって管理し、保守点検や修理などを適正に行なわなければなりません。
また、特定保守管理医療機器を販売する企業は、高度管理医療機器販売業・貸与業の許可が必要となります。
譲受及び譲渡に関する記録を、記載の日から15年間、保存しなければなりません。
特定保守管理医療機器は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、厚生労働大臣が指定するんだ。
設置管理医療機器
設置管理医療機器は、設置にあたり、組み立てが必要な特定保守管理医療機器になります。
保健衛生上の危害発生を防ぐ目的で、設置に係る管理を必要とする医療機器のことをいいます。
全身用X線CT診断装置、遠心方式臨床化学分析装置、炭酸ガスレーザ、体外式結石破砕装置などがあるよ。
設置管理医療機器の製造販売業者は、設置管理基準書を作成しなければなりません。
販売した業者は、設置管理基準書に従い管理するなどの義務があります。
生物由来製品
生物由来製品とは、人やその他の生物(植物を除く)に由来する原料または材料として製造される製品のうち、保健衛生上、特別な注意を必要とするものです。
製造販売業者は、 30 年間の記録の保存が義務付けられています。
そのため医療機器ディーラーは、その譲渡の記録を製造販売業者へ報告しなければなりません。
病院で使用できる医療材料は決まっている!?保険医療材料の5つの区分
保険医療で使用される材料は、5つの区分と10項目に分類されているんだ。
むずかしく見えるけど、ポイントさえ押さえれば大丈夫!わかりやすく説明するね。
既存の診療報酬に包括(A区分)
Aの区分の医療材料は、診療報酬にその材料費が含まれるものです。
この区分の医療材料は、個別に保険請求することはできません。
包括的に評価される医療材料になります。
つまりAの区分の医療機器は、追加で保険請求することができず、病院の持ち出し(負担)となります。
病院の立場で考えると、可能な限り購入費や使用を抑えたい材料になります。
技術料とは別に医療材料が保険請求ができる(B区分)
Bの区分は、特定保険医療材料とよばれ、技術料(診療報酬)とは別に、保険請求ができる材料です。
この特定保険材料には、保険償還価格という基準材料価格が設定されています。
どのメーカーの製品も、同じ機能であれば、下記のように同じ基準材料価格が設定されています。
特定保険医療材料について詳しくは下記をご覧ください。
既存の区分に当てはまらない新規品(C区分)
Cの区分は、新たな機能や今までにない技術のため、特定保険医療材料の設定がない材料です。
Cの区分の材料は、中医協の承認を得て保険適用となります。
新機能や新技術をもった医療機器を開発した企業は、保険適用希望書を提出します。
中医協と開発企業で機能区分や材料価格基準の調整を行い、中医協の承認によって決まります。
再製造の単回使用医療機器(R区分)
Rの区分は、再製造された医療材料の区分になります。
医療機器は、一度使用すると、その性能や安全性の問題から、再使用が禁止されているものが多くあります。
つまり使い捨て(ディスポ)の製品です。
使い捨ての製品の中には、数十万円するものあります。
そこで厚生労働省は、医療費の削減、資源の有効活用の観点から、使い捨て製品を再び使用できる制度を創設しました。
この再製造された医療機器を再製造単回使用医療機器(R-SUD)といいます。
まとめ
今回は、医療機器をリスクと保険材料の2つから見た分類について説明しました。
リスク分類では、製造販売業者や販売業者に業務上の義務が発生するため、営業活動する上でも重要な知識になります。
単に商品を販売するだけでなく、販売した後の調査(市販後調査・トレーサビリティ)という業務があることが理解いただけたかと思います。
また、保険材料の分類では、診療報酬との関連がわかり、医療機関の収入という視点でも理解できたかと思います。
これら2つの分類は、営業活動する上で、たびたび必要とされる知識です。
必ず覚えておきましょう。
コメント